「それより、美祢ちゃんの方は如何なんじゃ？　嘉（よし）さん（母の主人、姉と私の父で、
”嘉孝”と云う名前）は、その後,何か解かった事は・・・？」「せーが、何もねーんじゃ！
つい先だっても市役所に行って調べてもろたんじゃけどな、生きちょるか如何か市役所でも
何の手掛りも無いんじゃ・・・！」

「そう・・・。切ないね・・・。切ないって云えばなあ～～、ご主人の戦死の訃報を受けて
２年程経って、やっとその悲しみから抜け出して、人に勧められて再婚したんじゃ、所が、
その１年程経って、戦死した筈の前のご主人が、帰って来たんじゃ！」

「へ～～！そねな事もあるんじゃね～！でも、戦地で命がけで闘って、やっと命だけ
は助かって、内地で待っている奥さんや子供さんと一緒に又、以前の様に生活出来る事だけ
を夢見て帰って来たら、他の人と再婚されていたら・・・可哀想じゃな・・・。
夢も希望も無くなるじゃろうね！切ないね・・・！」母も、伯母さんも泣いていた・・・。
みんな戦争が悪いんじゃ！戦争さえ無かったらこねな苦しみはせーでも済んだじゃろうに・・・。