１１月に入って母は会社からの帰りが段々遅くなっていた。
この頃私は、男の子達の遊びに夢中になっていた・・・！
それは何かと言うと、空き缶２つに穴を空け丈夫な紐を通して
結んだ物を作り、 その空き缶の上に足を乗せ、紐を手で
操りながら歩いたり走ったりする遊びだった。

男の子達は裸足で空き缶に乗り足の痛さも冷たさも感じない
かの様に巧みに紐を 操って遊んでいた・・・。が、
女の子達は流石に、缶の周りの突起が痛いし冷たいので
誰もこの遊びをする子はいなかった。

だが私はワラジを穿いたまま缶に乗れる・・・。
女の子達は皆下駄履きで、下駄の歯が 邪魔で乗れない・・・・！
私は得意になって缶乗りを楽しんでいた。
「紀ちゃんはワラジはいててえ～な・・・！」「貸したげよか？」
「えっ！ほんま！ 貸して貸して～～～！」「な！痛ないやろ！」 
「うん！痛くない！」