姉の一言で 母と私の命は 救われたのである・・・・・・
「ごめんね・・・! お母ちゃんが 悪かった・・・ 黎子が言う通り お父ちゃん帰って来はった時、
皆が 死んでたら ものすごく寂しくて 悲しい思いしはるもんね・・・!頑張って
生きていかなネ!」 「うん!」 「そうやん!」 「今晩 泊まれる所 見つけないとネ!」
母の持っていた懐中時計(父が 出征の時 母に
「此れを 僕だと思って持っている様に・・・・!」と渡した時計)は 3時をまわっていた。
岡山と言えども 11月の夜は寒い 野宿をする訳にはいかない・・・ 歩きながら母は考えた
農村には 田んぼのあぜ道によく納屋がある 農耕器具や藁等が置いてある小さな小屋・・・
そこを 持ち主の方にお願いして とり合えず一夜だけ泊めて戴こう・・・と・・・
納屋を探して 暫く歩いていると 誰も住んで居ない様な荒れ果てた家があった・・・
鍵も何も掛かっていない・・・ 中を覗いて見たが やはり誰も住んで居なさそうである・・・
「良かったね! 今夜は 此処に泊めて戴こう・・・?」
この時母は 此の家を見て すっかり忘れていた事を 思い出した・・・!!