「解かった?」 「解かるわね 美祢さんみてーに 綺麗な人は そうざらには いねーからね!」
「まー相変わらずお世辞が上手やね!」「あはははーっ!このお子さん達は美祢さんの・・・?」
「そーなんじゃ!黎子と紀子宜しくお願いしますネ!」姉と私一緒に「よろしく お願いしま-す」
「可愛いねー!ちゃんとご挨拶出来て・・・」「あの 此れ家の庭に出来ていた柿じゃけど
職員の皆さんで どうぞ・・・ 暫くは 又あの別荘に居ますので 何かとお世話に成ると
思いますが 宜しくお願いしますね!」
私達の話声を聴き付けて 院長が近ずいてきた・・・「いやーどなたかと思ったら 美祢さん・・・!
久し振りじゃの・・・!」「あらー 院長さん その節は大変にお世話に成りました・・・
トテモお元気そうで・・・」「美祢さんは少し痩せられた様じゃなー 苦労されたんじゃろ・・・」
「ハイ! 戦争は もうトテモ トテモ 苦労が多くて・・・」「そうじゃなー 戦前と比べたら
皆 てーへんじゃ!(大変だ)ご主人は戦地かな・・?」「ハイ! 去年の秋に・・・」
父の事を聞かれて 母は涙がこぼれそうになった! その様子を見ていた院長は
「どうじゃろう・・?又 昔の様に 此処で年寄り達に 踊りを見せてやって呉れんかね!
今は 何処からも慰問に来て呉れんでな・・・ 皆 寂しい思いをしとんじゃ・・・」
「へえー こんな 私で良かったら 喜んで踊らせて戴きますけど すっぴんの儘で 髪も
切ってしもうたから 此の侭ですが・・・ 着物だけは大丈夫ですが・・・」
「それで 充分! じゃ 決まり! いやー良かった!皆も喜びますよ・・・!
お礼は何も出来んが 宜しかったら 又 お嬢ちゃん達と お風呂に入りに
おいでんせ・・・」「有難う御座います・・・本当に助かります・・・
良かったね!」「うん!おじちゃん ありがとう!」