私達は 養老院の後 3軒のお家に挨拶に行き その内の1軒は今市さんより大きな
お百姓さんで 母が家の庭に出来た柿をお渡しすると 「昔は 良く柿の食べ比べを
したな・・・ 何処の家の柿が一番うめー(美味い)とか・・・」「そうそう それで
柿を食べ過ぎて お腹を壊したり・・・あはははー」「そーじゃったな・・・ ああ
お昼 これからじゃろー 丁度今 さつま芋を 蒸しよーんじゃ! 出来たら持って
行ってあげるで 待っててつかーせ・・・」「まあ 有難う御座います・・・!」
「おばちゃん ありがとう・・・!」
「それからー すいませんが お米を1俵と お野菜を少しわけてつかーせー」
「ええ 解かった! ただ 昔みてーに良いお米じゃあねーけど(無いけど)いいかな?」
「ええー ええー 何でも結構じゃ 口にへーりさえすりゃー・・・」
「じゃあ そうとう重てーから 後で 内の若けーもんに お芋と一緒に届けさせるでな」
「ありがとう! 助かるわ・・・! お代は 幾ら・・・?」「いい いい 今は
お金貰うても何の価値もねーからな・・・昔 美祢さんには 色々と助けて
もろうたから・・・ 恩返しのつもりじゃ・・・」「スイマセン・・・!
有難う御座います!! 恩に着ます!」「おばちゃん 有難う御座います!!」
その後 よろず屋さんで 座敷箒や庭箒 バケツ はたき 塵取 石鹸 磨砂 手ぬぐい お茶
等を買って家に帰り 湧き水を水筒や バケツに汲んで 昔 母が使っていた もう
ベコベコになったアルミのお鍋とやかんを 丁寧に洗い 昼食の準備に備えた。
土間に ころがっていた 少しヒビの入ったコンロの周りに 買って来た針金を巻き付け様と
していた所に 先程の 農家の若い衆が お米やお野菜・ふかし芋を届けに来て下さった・・
母のあぶなっかしい手つきを見て「おばさん 僕にかしてつかーせー 針金巻いて挙げる
で・・・」と言って 母から コンロを受け取るや あっと言う間に針金を巻きつけて
呉れた・・・ 「まー 早いはね・・・! どうも 有難う お母さんに宜しく・・」
この様に ご近所の方達に助けて戴きながら 笹が瀬での生活が 始まった・・・!