「噂には聞いていたけど　内山下も　ぶっそうじゃネ！」「そうなんじゃ！　手提げ袋なんか
　　ぶら下げて持ってると　ひったくられるから・・てーへん(大変）じゃ！」「私も　今日　
　　　ひったくられそうになったから　慌てて　腕に抱え込む様にして持ち直したんじゃ！」
　　　　「こえー(怖い）世の中になったもんじゃね・・・！　ところで　黎ちゃんや紀ちゃんは　
　　　　　　元気？」

「ええ　お蔭様で　２人は元気じゃ、S君　M君もお元気ですか？」「何とか　元気じゃ・・・」
　　「こんな世の中じゃから　せめて元気で無いとね・・・！　じゃあ　そろそろ荷物を運び
　　　　出せる様にしないと　３時迄に運送屋さんが来てくれるので・・・」「そうじゃな」

荷物は　大阪から此処へ送って其の儘で　解いて居ない　其の儘玄関迄運び出せば良いだけだが
　安富のお義姉さんに　お世話になっているお礼に　母の持っている　帯止めの中から　好きな
　　物を選んで貰う為に一つの荷物を解いた・・・　「おねえさん！　此の中で好きなのを
　　　選んでつかーせー　お世話にばかりなって　今の私に出来るのは　この位の事なので・・」

安富の伯母さんは　断ると返って　母が気を使う事を知っているので　喜んで　選んで受け取って
　下さった・・　「じゃあ　この珊瑚の帯止め戴きますね！」　丁度其の後　玄関の戸が　ガラガラ
　　と明いて　「運送屋ですけど・・・」「はーい！　其のお玄関にある荷物お願いしま～す！」
　　　荷物がトラックに積まれ　母もトラックの　助手席に乗せた貰った。　外迄　見送りに出た
　　　　安富の伯母さんに何度も何度も　お礼を言って　「じゃ　お元気で　又・・・」と安富宅を
　　　　　後にした・・・