戦争が終わって２年近くに成る・・・。「何で、うちとこのお父ちゃんだけ、
未だ 帰って来はらへんの・・？」「さあ・・・・」母は、困った様な顔をした・
・・ 母にも解かる筈もない！　これ以上、聞いてはいけない様な気がした。
一番父の帰りを待っているのは、母ではないのか、その母がじっと耐えながら、
私達の為にこうして働きながら内職もしている・・・。

此の頃、戦死者以外の兵士は、殆どの人が帰還していて、精神的にも経済的 にも
少しずつでは あるが生活面は、向上しつつあった。ここは、農業 や漁業の家庭
が多く、力仕事の出来る頼りになる男性の力を得て、中には、闇市でぼろ儲けをし、
家を建てた人 や都会から食料を求め、　金銀　宝石　高級衣類等と　穀類　野菜　
魚介類等と物々交換をして、新品ではないが、戦前の高級な服を学校に着てくる
子供達もいた！そんな中で、私だけが、皆とかけ離れて汚い身なりだった・・・！

母からは、「身なりがみすぼらしいからと言って、自分を卑下してはいけません！
身なりが、みすぼらしいからと言って、心までみすぼらしく成ってはいけません！」
と言われていた。しかし、自分では、そう思っていても、学校では身なりの事で、
馬鹿にされたり、虐められたり・・・！　何故・・・・？？？