そんな事があって、１週間程経った。学校へ行って驚いた！
もう　誰も私の事を「オンジャン・パンツ」と言わなくなったのである！何故・・・？
私は、未だ父のお下がりのダブダブで、ヨレヨレのパンツを穿いていたにもかかわら
ず・・・。腕白坊主仲間Ａの母親が、一部始終（内職屋さんから出てきて、傷痍軍人
のお弁当箱に封筒の儘、お金を入れ、バスの中でのいきさつ迄・・・）を

Ａの母親が近所のおばさん達に話していた！「うちの息子と同じクラスの女の子の
お母さんがな！ま～泣かせる事しょ～たんじゃ！」と言って一トとうり話した後で
「なかなかでけん（出来ない）事じゃ！今は、誰もが１銭でも欲しい時じゃからな～」

その話を腕白坊主Ａが聞いていて、仲間に吹聴した。しかも、「あいつとこの父ちゃん
な、戦争に行ったきり未だ、け～て（帰って）来んのじゃて、生きとるか死んどるかも
解からんのじゃと・・・！　おれ～～かあちゃんから言われたんじゃ！おめえは、
腕白だから、この嬢ちゃんの事、いじめんじゃねーぞ！ってな！」この事があってから
腕白Ａは、私を助けてくれるようになった！例えば、雑巾バケツを重そうに持って
いたら「おれが、はこんだる！」と言って、運んでくれたり・・・！