右手にバケツを持ち、左手に買い物籠を持って、バケツの持ち手と買い物籠の持ち手
の長さが違い、重さも違うのでバランスが取れず、たった10分の道のりを時々休んで
何度かバケツと籠を持ち替えて30分も掛ってやっと家に続く石段の下迄たどりついた。

石段をタニシとザリガニの入った重いバケツと籠を両手に持って登れるだけの体力は
小学1年生の私には未だ無い！仕方なくバケツをこの場所に置いておいて、
先に未だ生きているザリガニの入った籠だけ持って石段を登る事にした・・・。
ザリガニを落さない様に籠の手を両手でしっかり持って何とか石段を登り、
「ただいま～～～！！」戸を開ける前に大声を出した！　母が直ぐに出てきて

「んまあ～～～！！何て格好なんですか・・・！顔も服もモンペも泥だらけで・・・！」
「・・・・。」「直ぐに脱ぎなさい・・・！！」「未だ　バケツ　石段の下に
置いたままやねん！」「じゃあ　バケツ取って来たら直ぐに脱ぎなさいヨ！」「はい！」
私は、石段を駆け下りて、バケツの取手を両手で持って石段を登ろうとしたが、
腕に力が入らず腕が抜けそうだった・・・！　それでも何とか玄関迄運んで・・・。
私は、母が褒めてくれるものと思っていた。「沢山取れて、重いのに良く頑張ったわね！」
と・・・。