秋も深まり、庭には、最後の一つの桃の実がぶらさかり、柿も実を付けていた・・・。
桃の木は、あまり背丈が高く無く、私や姉でも手を伸ばせば、もぎ取れた。桃の実は、
表面全部薄くて短い毛で覆われていて、濡れた手でもぎ取ると、手が痒い！気持ち悪い
位、掌が　かいかいかい～～～い！ 桃も柿も私達親子にとっては、有難～～～い
自然の恵みで、充分にお腹を満たし、病弱な母にも育ち盛りの姉と私にとっても貴重な
ビタミン剤にもなった。

裏山には、栗やキノコ等も食べ頃だったが、毒キノコも多く　私達には見分けが付かな
かったので、食べる事は無かった・・・。

小学校では、遠足や運動会が有り私達は、嬉しかったが、母にとっては、お金の要る
ことばかりで、頭痛の種だった。運動会は、男の子も女の子も全員が裸足で、運動場には
錆びた古釘やガラスの破片なども多く、競技で転んだり、ぶつかったり怪我人も多く、
準備された薬や消毒液も足りなくなる始末だった・・・。


やがて、木枯らしのピューピュー吹く冬となり、それでも素足にわらじを履き
手足にあかぎれや霜焼けをつくりながら、学校に通った。