小さな声で母と姉が話しているのを聞きながら私は、又うとうととしていた・・・。
「黎ちゃん　帰って来たばっかりで　悪いけど　おコメ突いてくれる？」「は・・い」
襖越しに姉が、瓶の中のお米を棒で突く　ザクザク！ザクザク！という音が聞こえて
いた。その繰り返し音が心地良く私は又眠りに就いた・・・。

小１時間も眠っただろうか、母の「紀ちゃん！」と呼ぶ声で目を覚ました。
暖かいお粥とチョット　スッパそうな梅干の匂いがした。「おかいさん　出来たけど
食べる・・・？」そう言って母は、お盆に載せた梅干の入ったお粥を 勧めた。」
「あっ・・！おかいさん・・・！うん　食べる・・・。」白い米粒を食べるのは何日振りだろう。
夢に迄見たおかいさんだった・・・。

私は、額の手ぬぐいを取ってもらい、寝返りを打って俯きになり、其の儘敷き布団の上に
お盆を載せて貰って、「熱いから気をつけなさい！」「うん・・」ふ～ふ～と息を吹き掛けながら　　　　　　
「ず～ず～ず～ず～ず～～～～！」とお粥をすすった・・・。熱が有ったので味はあまり
解からなかったが、喉越しが良かった・・・。「お行儀の悪い！女の子がそんなに音を
立てて食べるんじゃありません・・・！」「はい！」

母は、優しさの中でも躾（服や和服等を作る時に　事前に仮に縫って見る事を躾を掛ける
と言うが、より良き仕上がりを期待する為に用いる。人も依り良い人間に育てる為に躾
られた）には厳しかった！