母は、内職と聞いて目を輝かせて早速教えて貰いながらセルロイドに挑戦した・・・！
４月の始め・・・　もう火鉢に火は仕込んでいないので、伯母さんは七輪に火を起こし、
その中にコテを２本立てて差込み少し熱くなるのを待った。「熱加減がチョット難しい
のとセルロイドに付けるカーブが難しいけどな、何でもそうやけどな慣れたら、どーって
事無いさかいな・・・。」「う～～ん　せやけど難しそうやね！」

伯母さんは１本の造花を１０分程で仕上げたが、母は、１時間掛った！

昼食前になって伯母さんは台所に立って昼食の準備を始めた。「私も手伝おか・・・？」
「手伝うてくれる～？ほんならこの芋粉の粉にお水を少しずつ入れて捏ねて、お団子
作ってくれる？」 「へ～～芋粉なんてあるんやね？　見るの初めてやわ！」
芋粉・・・薩摩芋を乾燥させて粉にした物、この当時大阪での主食は、メリケン粉とこの
芋粉（当時お米に代わる主食の事を”代用食”と呼んでいた。）で、何れも
クーポン券での配給品だった。
　　　　

この団子を指で押さえて平らにし、蒸し器で蒸して食べる。大阪では、”芋粉の団子”と
呼ばれていた。蒸した団子は変色し、こげ茶色になっていた。