その後、遠い親戚に貸してあったが為に一番上質で高価な振り袖一式が盗難に合う事無く
助かって戻って来た。１０数年後にこれらの着物は大活躍をする事になる。
先ず、姉の成人式やお正月、友人の結婚式等に着用し、その後私も姉の結婚式や諸々の
御目出度い行事の時に活躍し、又、少し経って裾の汚れ等の手入れをし、金粉、銀粉等を
専門家に施して戴き、姉の娘２人も着用して、親、子供、孫と３代に渡って大活躍したのである。

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母は、意気消沈していた・・・。
何故なら、大阪の中川宅からの帰路、列車の中で、大阪は未だ食料事情が良くない・・・。
従って、紀子は、好き嫌い無く何でも食べるから問題は、無いが、黎子は、好き嫌いが多いうえ
胃腸に良くない食べ物も有るので、もう少し食料事情が良くならないと大阪には帰れないなと
思っていた。まあ当分は、岡山に居て、良質な着物が有るので、それを食料に変えて子供達の
健康だけは保って上げないといけないと思っていた矢先、今回の盗難である・・・。
食料の糧が無くなって仕舞ったのである・・・。

今後どうやって生きて行けば良いのか・・・。母は、途方にくれていた・・・。