私は、暗い押入れに入れられて、積み上げられた煎餅布団の上で暫くは泣いていた・・・。
昼間、学校と下校後の遊び疲れのせいか眠ってしまった様で・・・
「のりちゃん？　のりちゃん？」と呼ぶ姉の声で目が覚めた！
姉は、押入れの襖を開けて私の顔を覗き込む様にして見ていた。
私は、疎開先の岡山でも何回か母に叱られて押入れに入れられた事が有り（全て何故
叱られたのか解かっていなかったのだが・・・。）目が覚めた時は岡山の家の押入れと
勘違いしていた。

「のりちゃん！御飯やで、早よ出といで！」「う～～ん」押入れから出て、うん～？
違う！回りの景色が違う・・・。ここ　何処？　ああ～～そうか　中川さんとこや！
やっと　目が覚めた！そのとたんにお腹の虫がぐ～～～！私は　１時間近く眠って
しまったようで、丁度その間に夕食の準備が出来ていた。

母の様子をうかがう様に母の顔を見た・・・。何時もと様子が違う！顔色が悪くて
気分悪そうに見えた・・・！私のせいだ！と思った。私が母に心配をかけたからだ
と思った。私は正座をして、頭を下げて謝った「お母ちゃん！ゴメンナサイ　もう
これからは　しませんから・・・。」「何がいけなかったか解かっているのですか！！？」
母の叱声が私の頭の上を飛び抜けた！　私は、女の子のくせに男の子の遊びをしたのが
いけなかったと思っていたが、何となくそれだけでは無い様な気がしていて「あの～」
と口ごもってしまった。