翌日、劇関係者一人一人に台本が手渡された・・・。チョット　ドキドキしながら　
「姫」のセリフは？とくまなく探したが
「あっ！　あのトンボがほしい！」の一言だけだった・・・笑

このセリフが何とも喋り難い。如何しても一本調子になってしまう・・・。
「あっ！　あそこにトンボが・・・。あのトンボがほしい！」に変えて欲しいと思ったりしていた。
しかし、当時は、両親や学校の先生の指示には絶対に逆らえ無かったので何も云わなかった。

本読みも終わり、立ち稽古が始まった・・・。
あっ！あのトンボ・・・の時に、何処かにトンボが止まっていて指差すのかと思ったが、
先生からは何の指示もなく・・・、仕方なく突っ立ったままで、そのセリフを口にしたのだが
何ともぎこちないものになってしまった。

「山本さん！もうちょっと自然な感じで出来ない？」「あ、はい！」