網に乗せた６匹の目刺が程よく焼けて、父には３匹私達には１匹ずつ小皿に
乗せられた。その上にお醤油を少しかけて頭から丸ごとカブリ付くのがその頃の
目刺の食べ方だった。この食べ方だと残るのは尻尾だけで骨も皮も全てが食べられ、
カルシュウム分も摂取出来、人間の身体の一番根幹となる丈夫な骨をつくるのに役立つ。

しかし、実際に頭からかぶり付いて食べると口の中で骨が邪魔になり、頭や腸（はらわた）
の部分が苦かった！母が「良く噛んで食べるんですよ！」「は～い！」私はこの食べ方が
苦手だった！しかしこの時代食べ物に対する好き嫌いは言っていられない・・・。
何でも食べないと栄養失調に為りかねない！目刺を焼いた後、七輪にはヤカンが乗せ
られていた。

お湯が沸てきたので、お粥を食べた後のお茶碗にそのお湯を入れて貰い、口の中に残って
いる目刺を一気にお湯と一緒に流し込んだ！それを見ていた母が「んま～～！！　
この子は！骨をしっかり噛まないと喉や胃に刺さりますよ！」とたしなめた・・・。父は・・・？
大丈夫なのかな？と見ると頭からかぶりついたが硬くて噛み切れないらしく、一生懸命尻尾を
持って引っ張っていたが「んが～～！歯が・・・！！」