<<08  2017,09/ 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30  10>>
スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
父 還る!!
姉と二人で5号室の扉の前に立って「本多さんのおばちゃん!」と声をかけた.「はーい」と
綺麗な声がして、出て来たのは高校生位の日本人形の様な真っ黒な髪をした女性だった・・・!! 
おばちゃんとは似ても似つかない程綺麗な人だった!!
顔や手足の肌も透き通った陶器の様に美しかった・・・。

姉も私も部屋を間違えたかと思い表札を見上げたが、表札はやはり「本多」と書かれてあった。
「あの~~」「ああ!山本さん・・・?」「はい」「おかあちゃん!山本さん姉妹来やったよ!」
さっきのおばちゃんも部屋の中から出て来て「お掃除ご苦労さん!寒かったやろ、はよ入り!
はよはよ・・・。」

部屋の中はやはり四畳半で真ん中に火鉢が置かれてあり、その上に乗せられたヤカンから
湯気が立ち込めていて、暖かかった・・・。おばちゃんが、「こっち来て火鉢の傍に座り!」
姉も私も手がカジカム程冷たかったので、火鉢の傍に座り手をかざした・・・。

おもいつくまま



昨夜(14日)9時半頃熊本県で震度7の大きな地震がありました!!



一刻も早く地震が終息します様に・・・。

一刻も早く被災者の皆様に

必要物資が届きます様に・・・。


父 還る!!
「あっ、そうや、あんたら便所掃除済んだら綺麗にそこのクレゾールで手、消毒して
おばちゃんとこ来てくれるか・・・?、おばちゃんとこは1階の5号室で<本多>て表札
架かってるさかいに直ぐ解るからな!」「え~、あ!はい・・・!」おばちゃんは部屋を
教えて、忙しなく(せわしなく)便所から出て行った。

姉と二人で便所掃除を済ませ、平たい洗面器に用意されているクレゾールに手を
漬けて消毒し、掛けてある手拭で手を拭いた・・・。「このクレゾール見たら思い出す
な~、岡山でお母ちゃんが親戚の娘さんのお見舞いに病院に行って、赤痢菌を
うつされて赤痢になって、2人でお母ちゃんの看病してた時、うちが1回だけ手の消毒
せえへんかった為に、うちも赤痢になってしもた事・・・。」と姉・・・、「そうやな~たった
1回だけやったのにな~汚い物触ったらちゃんと消毒せなあかんな~!」

戦後直ぐの頃(昭和20年頃)日本全国で伝染病(赤痢、疫痢、コレラ、結核、etc)
が充満していて、母と姉が赤痢に・・・、私が肋膜に・・・。しかし、運良く奇跡的に
3人共治癒し元気になった・・・。

「おばちゃんとこ行ってみる?」「本多さん云うてはったな~~~? 行こ、行こ!」

父 還る!!
便所掃除が終わる頃、50歳ぐらいのおばちゃんが入って来て「あんたら 何処の子?
見かけん顔やけど・・・。」「あっ!すいません!うちら最近二階の角に引っ越して来た
山本言います・・・。」「そうか・・。きょうだい?」「そうです・・・。」「えらいな・・・。
お母ちゃんが働いてはるからか?」「そうです・・。」と姉が答えた。「便所掃除する子は
大きくなって結婚して子供が生まれたら可愛い子や綺麗な子が生まれるんやて・・・。」

「へ~~ほんまですか~?」「ほんまらしいよ!! その証拠に内の子は3人共みんな
可愛い、言うてくれはるよってな!」「ほんなら、おばちゃんは子供のころ便所掃除して
はったんですか・・・?」「そうやな、小学生の頃からな・・・お母ちゃんが死んでしもて
居なかったからな!」

「・・・。うちとこのお母ちゃんも・・・。」と云いかけて私は口を噤んだ。聞かれもしないのに
余計な事を云ってと後で叱られると思った・・・から・・・それより何より便所掃除をして
褒められた事が凄くうれしかったのと、このおばちゃんもお母ちゃんと同じ様に苦労して
はるんやな・・・きっと・・・と思った。






父 還る!!
 姉と二人でリンゴ箱とベニヤイタを押入れから出して、机代わりにし、教科書やノートや
筆入れを出して明日から始まる新学期の為に予習をした。予習といっても国語の本を読んだり、
解らない漢字を先生に聞く為に書き出して置く位だった・・・。姉が傍にいるが聞けない・・・。
姉曰く「そんなん解らへん事は学校の先生に聞きいな!何の為に先生がいてはんの?」
姉の言うとうりだと思った・・・。

ベニヤ板の上を片ずけ、お昼には朝の残りの芋粥を温めて父と3人ですすった。

体が温まり午後からお天気も良かったので冬といっても少しでも暖かい内に廊下と便所の
掃除を済ませたかった・・・。廊下の掃除は2階だけで良かったので、矢張り姉が先に箒で
廊下を掃き、その後私が雑巾のもっぷで拭き掃除をした。便所は1階だけに有り、
小学校と同じ様な造りになっていて、床はコンクリートで水を流して束子箒でゴシゴシと
コンクリートをこすりながら水を流して行った。便器は女性用が2つ男性用も2つ有った。

姉も私も小学校の便所掃除も当番性でしていたので、同じ様に済ませたが、流石に2人とも
この便所掃除が嫌いだった!









父 還る!!
掃除当番の日がやって来た! 母は今迄どうり仕事に朝早く出かけ、姉と私で朝食の
後かたずけや食器洗いを済ませ部屋の掃除も済ませた(四畳半の掃除はとても簡単・・
茶殻は未だ父の収入が無くお茶の葉を買えない・・・。お白湯を飲んでいるので茶殻が
ない・・・。)

仕方なく、ほこりが立たない様に茶殻の替わりに古新聞を水で濡らし、小さくちぎって
畳の上に撒き短い箒で姉が掃き集め、私はバケツに水を汲んで来て、雑巾を水につけて
硬く絞って出窓の板の部分や部屋の入口の板の間の拭き掃除をした。(姉は水使いを
すると霜焼けが酷くなるので水使いはあまり出来ない・・・。)

母が出かける前に七輪の練炭の上に五徳を置き、その上にヤカンを乗せていってくれた
おかげで、お湯が沸いてヤカンの注ぎ口と蓋の小さな穴から湯気が天井めがけて立ち昇っ
ていて、部屋の中が少し暖かい・・・。父は・・?と見ると掃除の済んだ綺麗な所で壁にもたれ、
やはり毛布を肩からすっぽり被り仮眠していた。
 



 
  





父 還る!!
その日の夜みんなで食事をしていたら、お隣の奥さんがトントンとドアをノックし、
こんばんわ~、とドアを開けた・・・。「あっ!食事中ですか?すんません!」
「大丈夫ですよ!何か・・・?」「此処のアパートの廊下とお便所の・・・、あ、食事中
なのにすいません・・、掃除は当番制で順番に皆でする様になってるんですけど

管理人さんから聞いてはりますか?」「あ、は~聞いていますけど・・・?」「明日は、
私・・・、あっ!名前未だでしたよね!すんません!隣の中村いいますけど、うちとこ
がお当番で、明後日がお宅になりますので宜しくお願いします。」そう云って掃除当番
と書かれた板を置いて行った。姉が「綺麗なおばちゃんやね・・。色白いし、髪の毛
が天然パーマみたいでアメリカ人に似てはるね・・・。」

中村さんは清潔感のある、当時としては少し太めの背も女性にしては高めの綺麗な
人だった。



父 還る!!
その翌日、4年生の3学期、新しい学校での授業の為の準備をベニヤ板の上で姉と一緒に
していた。教科書、ノートと鉛筆・・・。鉛筆はカッターナイフで削って段々短くなり
手で持てなくなると、鉛筆のキャップを逆さまに鉛筆にさし、とことん使える迄使っていた。
筆箱はセルロイド製の友達のお古を貰った物で所々ヒビが入っていたり、欠けていた・・・。

そんな様子を父が見ていて、「お前は、鉛筆の削り方が下手だな!鉛筆の削り方の下手な
子は、字を書くのも下手だろう・・・。お姉ちゃん見て見なさい!綺麗にけずってる・・・。
きっと字も綺麗に書けるんと違うか・・・?」父の云う通りだった。私は字が下手で、それが
一番の悩みだった!! そ~か鉛筆の削り方が上手になったら、字の書き方も綺麗に

なるのか~~?と思い真剣に丁寧に鉛筆を削って見たが矢張り綺麗では無い!!父に
鉛筆の削り方も字も下手と云われ、姉と比較された事がショックだった・・・。
お姉ちゃんは私より2才も年上やし字も鉛筆の削り方も上手なのは当り前やのに・・・。
私の心の中にこの事は大きな傷となって残った!!|v・`)ノ|Ю
 


父 還る!!
「んま~~!! あなた! そんな格好で! 風邪引きますよ~~!」
「うん・・?あ・・・。大丈夫・・・。」「お父ちゃん!蓑虫みたいやん!!」
「黎ちゃん! お父ちゃんにお布団ひいてあげなさい。」「は~い!」
そう云って母は疲れているにもかかわらず廊下に出て七輪に火を熾し始めた。

「お母ちゃん!何か手伝おか・・?」「手伝ってくれる?」「はい」「ほんなら
玉ねぎの皮むいて、春菊、洗ってくれる?」「はい」 私は玉ねぎと春菊を
持って廊下に出て流台の前に行った・・・。寒い!玉ねぎの皮をむいて水洗いし
春菊も根元の土を綺麗に指で落としながら、水洗いした・・・。冷た~~い!

そこへ布団を敷き終えた姉がまな板と包丁を持ってやって来た。「お父ちゃん
ちゃんとお布団で寝てはる?」「うん、何とかな!シベリアで何時もあんな寝方
してたんとちゃうかな~~?1度身に付いた習慣は中々直れへん 
云うからな・・・。」「うん、でもあんな格好で寝てたら風邪引くやんな~~!」
姉も私も父がシベリアでどんなに過酷な生活をしていたか、知るよしもなかった・・。


父 還る!!
 帰る道すがら市場があった。母は疲れた身体に鞭打って市場の中へ入って行った。
姉と私も母について中に入った・・・。以外に中はがらんと空いていて
店数も少なく、空き店舗も何軒かあった!母は先ず八百屋さんを探して
春菊と玉ねぎを買った。そして、雑穀屋でメリケン粉と煉炭を買った。

メリケン粉は団子汁を作る為、そして今野菜の中で一番安くて旬の春菊も団子汁の中に
入れる為に・・・。玉ねぎは鯨と一緒に炒め物にするために・・・。
煉炭はアパートの住人達の殆どが燃料で一番安くて長持ち(朝1度火を付ければ
ほぼその日の夜中迄暖かかった!)する為だった。

一番重い煉炭を母が持ち、次に重いメリケン粉を姉が持ち、一番軽い玉ねぎと春菊
を私が持った・・・。

家に帰ると鍵を掛けない侭火も熾さない寒い部屋で父が芋虫の様に毛布に包まって
壁にもたれて座っていた。私達の帰って来た物音で目が覚めた様でこちらに顔を向けて
「お帰り・・・!」と・・・。
  



父 還る!!
翌朝、昨夜の残りの芋粥を皆で食べて、転入届けや転校届けの手続に市役所と
小学校へ行った・・・。先ず市役所へ転入届けに・・・。母曰く、「市役所には引っ越したら
直ぐに行って届けを出さないと配給品が貰えませんからね・・・!」
母の云ったとうりその日にマッチとローソクと鯨の肉が家族4人分支給された!!

先ずマッチが無いと火が熾せない。それに、未だ停電も時々起きていたのでローソク
も・・・。又、この頃は鯨が大量に捕獲され日本人のたんぱく質源として頻繁に配給
される様になった。しかし、牛肉や他の肉に比べて、独特の臭いがして硬かった為、
臭い消しにきざみ生姜や葱と一緒に煮たりと工夫をしなければならなかった。

この後、父が少し疲れたと云って配給品を持って一足先に家に帰っていった・・・。
母も疲れていたのだが、姉と私の為に転校届けを一緒に小学校へ・・・。

私達の転校は2度目だった。職員室の隣の事務所に行き手続をすませると
もう3学期は始まっていますが、3日後にとりあえず学校にきてください。
その時に担任の先生とクラスを紹介します。教科書は今迄使っていた物と同じ
だと思いますので、買わなくてもいいと思います・・・。

父 還る!!
食事が終わり皆で手分けして後かたずけをした・・・。
姉と私は皆の使った茶碗をボールに入れて流しへ持っていって綺麗に洗った。
父はちゃぶ台替わりのベニヤ板とりんごの空き箱を部屋の片隅に立て掛け
母は七輪とヤカンを入り口の板の間に置いた。

家族皆引越しで疲れていて、今日は早く休みましょうと云う事になった・・・。
布団はせんべい布団2組しかない・・・。先ず敷き布団を2枚並べて敷き
縦に寝るか横に寝るかが問題になった。縦に寝ると横幅が足りない!
横に寝ると横幅は何とか大丈夫でも、両親の足が出てしまう・・・。

すると父が「父ちゃんは布団は無くても良いよ!毛布1枚あれば・・・。
3人で今迄どうりに寝なさい。」「いいえ、あなたは今迄シベリアで寒い思いを
して来たので、布団で寝てください・・・。」ああでもない、こうでもない。と
敷布団の上で色々試して見たが結局、川の字が一番良いと云う事になり、
母が用意してくれた1つの湯たんぽも真ん中の私と姉の足元に置いてくれた・・・。

親子4人で並んで眠るのは初めてで、私は何故だか中々眠れなかった。
父の自分の事を「父ちゃん」と云った言葉が耳に付いて、これからず~と
父は自分の事を「父ちゃん」と云うのだろうか・・・?嫌だな!と思った・・・。
 
プロフィール

☆小さな天使☆

Author:☆小さな天使☆
戦争体験を主につずっています。その他思いつくままに・・・!
「お母ちゃん 死んだら あかん!!」と「父還る!!」のイラストは、お絵かきエデターを使ってマウスで描いています。トテモ難しいです。
性別 女性
年齢 ・・・!
好きなもの 平和 お花 芸術鑑賞
FC2ブログへようこそ!

蝶が舞い花の色が変わるブログパーツ(Twitter連携可)

毎日、花の色が変わります

リンク
リンク フリーです。どなたでも ご自由にどうぞ!
電力使用状況&電気予報
最新記事
最新コメント
月別アーカイブ
カテゴリ
ブロとも一覧
こねこ時計 ver.1
Cats
Sweets
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。
Pika_Mouse
powered by
3ET
カレンダー
08 | 2017/09 | 10
- - - - - 1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
検索フォーム
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。